痔を理解するための、詳しい排便のメカニズム 内痔核はこの図の如く肛門の締まっている場所より口側、
つまりお尻の外からいうと奥にあります。

さて、内痔核の症状として困ることの一つに排便時の出血による貧血があります。
出血の高度なひとは、シューって音をたてて便器に向かって噴射する水鉄砲のように出血します。
これを排便の度に繰り返すわけですから、貧血にもなります。
さて、どうして肛門の中にあるはずの内痔核からの出血が便器に直接噴射されるのでしょうか?
それは、排便時は脱肛になっているからです。


排便をはじめるとまず外括約筋が外側に開き、内括約筋は滑って下に降りてきます。
そして、歯状線より口側の粘膜が反転して直腸にある便とともに降りてきます。
便は元の肛門の高さより低い位置まで降りてきて、
内括約筋は外括約筋より外で低い位置にきて
ひょっとこの口のような肛門になります。
それからやっと便が体外に排出されます。


肛門はひょっとこのまま、便は歯状線より外側の皮膚に触れることなく脱肛
または、人によっては直腸脱の状態になっている直腸粘膜と便との間が滑ることによって排出されます。

そして最後まで調子よく一本便が出ると
自動的に出すときと逆にまず直腸粘膜が上がり、
内括約筋が戻ってひょっとこの口が引っ込む形で元に戻ります。
便が固くて多くこの一本便が長いときは
脱肛状態が普段より深くなってしまい、
肛門が上がって収まるのが遅かったり軽い痛みを伴ったりします。
このようなときは自然と肛門周囲の筋を締めたくなります。

排便時の肛門のこの大きな変化は一寸理解しにくいかもしれません。
でも、考えてみてください。調子よく排便したとき肛門は汚れていますか?
脱肛にならないと、歯状線以下の肛門上皮も便と擦れますから、
便が肛門の少なくとも下縁まではつくはずです。
実際には排便の終末期に肛門をつぼめるとき
タイミングが悪いとつくだけで、
調子よくでるとほとんど便は肛門の紙で拭けるところにはありません。

それに歯状線以下の肛門上皮に便が少しでもつくと灼熱間や違和感がありますが、何かの拍子に異常事態に陥らない限り肛門の違和感は生じません。 直腸粘膜や肛門管の中にあっても歯状線より口側の粘膜であれば、粘液を出す上皮ですから粘膜と便が滑ることができます。 さて、この排便のメカニズムを踏まえて内痔核を考えてみましょう。 まず、出血ですが、排便中は内痔核は外に出てきます。もし、内痔核が無い場合よりも痔核に引っ張られて多めに出てきて内痔核は外に出ます。この内痔核には動脈血は流入します。便が直腸よりずっと狭い肛門にあわせて変形しながら出てくる間も動脈圧の方が高いので動脈血の流入は続きます。一方静脈圧は低いので容易に便が通過中の肛門圧により流出を阻止されます。こうして、動脈血は来る、静脈血は出てゆかないという高度なうっ血状態になり、血管が破錠して出血します。 このような状態を改善するためには、余剰な直腸粘膜をなんとかすれば良いのです。そのためにいろいろな方法があります。


1. 硬化療法:炎症を起こす油を直腸の粘膜下に注射して、
粘膜をずれにくくする方法です。
出血症状の軽減に効果があります。
2. ゴム輪結さつ療法:これ専用の小さな輪ゴムで京都の縮緬織りのように、
粘膜を縮める方法です。
直腸粘膜を摘まんで引っ張るか、吸引するかして、
照る照る坊主の首のようになるよう粘膜にゴム輪をかけます。
この頭の部分は血流が行かなくなって
腐って落ちて潰瘍を作ってこれが治ります。
3. 痔核切除術:文字通り痔核を切除してしまいます。
多くの場合3箇所切除します。
切除した創の部分が粘膜のずれを防止する効果もあります。
4. 直腸粘膜縫縮術:PPHといわれている方法もこの方法の一つです。
直腸の余った粘膜を縫い縮めるか切除します。